今回は、気温や体感温度について。普段町で生活している分には、全く意識しなかったことですが、登山に限らずアウトドアなことをするようになるととても痛感する「気温や温度」でした。
多くの方が登られる富士山の例を出します。
登山 温度1 標高と気温
まず、よく言われているのが標高と気温の関係。
「標高が 100m 上がる毎に気温は 0.6℃ 下がる」
つまり、
標高 1000m で標高 0m の町より気温は 6℃ 低い
標高 2000m で標高 0m の町より気温は 12℃ 低い
標高 3000m で標高 0m の町より気温は 18℃ 低い
ということになります。
日本一高い富士山は標高 3776m。
多く見積もって 4000m として計算すると、
標高 0m の町より 24℃ も気温が低いということになります。
つまり例えば、
8月 真夏
標高 0m の麓の町が、
最高気温 30℃ 最低気温 24℃
の場合
富士山山頂付近では、
最高気温 6℃ 最低気温 0℃
となるわけですね。
数字ではパッとしないかもしれませんが、
「Tシャツ短パン、暑くて服をきているのがつらい」世界から登り始めても山頂では防寒着に身を包んだ格好でいないと耐えられないということになります。
これを頭に入れておかないと真夏でも命に関わるということになります。
登山 温度2 風と体感温度
風と体感温度の関係です。
「風速 1m で体感温度は 1℃ 下がる」
よくわかりませんね。
何となくイメージを作っていきましょう。
モンベルのサイトより
「富士山の年間平均風速は 12m/秒、山頂での最大瞬間風速は 91m/秒 を記録したこともある」
とあります。
風の強さのイメージのご参考に↓
風速m/s 10以上 15未満 やや強い風
・風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない。
・樹木全体が揺れ始める。電線が揺れ始める。
風速m/s 15以上 20未満 強い風
・風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。高所での作業はきわめて危険。
・電線が鳴り始める。看板やトタン板が外れ始める。
風速m/s 20以上 25未満 非常に強い風
・何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある。
・細い木の幹が折れたり、根の張っていない木が倒れ始める。看板が落下・飛散する。道路標識が傾く。
風速m/s 25以上 30未満 非常に強い風
・何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある。又は、屋外での行動は極めて危険。
・細い木の幹が折れたり、根の張っていない木が倒れ始める。看板が落下・飛散する。道路標識が傾く。
風速m/s 30以上 35未満 猛烈な風
・屋外での行動は極めて危険。
・細い木の幹が折れたり、根の張っていない木が倒れ始める。看板が落下・飛散する。道路標識が傾く。
風速m/s 35以上 猛烈な風
・屋外での行動は極めて危険。
・多くの樹木が倒れる。電柱や街灯で倒れるものがある。ブロック壁で倒壊するものがある。
気象庁ホームページ 風の強さと吹き方 より抜粋
富士山の年間平均風速 12m/秒。
つまりその風によって体感温度は 12℃ は下がる。
上記の8月の真夏の富士山の例でさらに当てはめてみましょう。
8月 真夏
標高 0m の麓の町が、
最高気温 30℃ 最低気温 24℃
の場合
富士山山頂付近では、
最高気温 6℃ 最低気温 0℃
ここに平均12m/秒の風と体感温度の関係を加えてみると・・・
4000m付近では、
最高体感温度 マイナス6℃ 最低体感温度 マイナス12℃
のような感じになるわけです。30℃位の真夏にもかかわらず麓と頂上では体感に40℃位の差が出る。
※最高体感温度とか最低体感温度という言葉はありませんがイメージとしてそんな書き方をしています 気温だけでなく「風によってさらに寒い」とイメージできればと思います
山の上に行けば行く程、風を遮る障害物や木々もなくなってきます。
風が常に吹いていると仮定すれば外気温よりさらに寒く感じる、ということになります。
標高と気温、そしてさらに風と体感温度の関係を頭に入れておかないと真夏でもさらに命に関わるということになります。
登山 温度3 濡れと体感温度
汗や雨などで濡れている体・衣類は体温を奪い続けます。そこに風を浴びればもっとさらに体温を奪われるということになります。
温泉上がりの扇風機の冷たさや、よく言われる「汗で濡れたままの服でいると風邪をひきます」・・・が良い例でしょうか。
登山などでは季節を問わずどうしても汗をかいてしまいます。
そこに風を浴びようものなら 温度2で記載した「風と体感温度」に加えさらに体感温度は下がるという感じになります。
登っている時は動いているので暑い、汗をかく・・・疲れたので動きを止めて少し休憩を挟む・・・そこに風・・・もう休憩にならないほどの寒さになります。
そういうこともあり、中の蒸れは逃がし外からの水分は入れない防水透湿素材の衣類や、すぐ乾く速乾性のある衣類が重宝されることになります。
以上より山では、
標高と気温の関係により、高いところに登れば登る程寒い。
風と体感温度の関係により、風が吹けば吹く程、体感温度は下がりさらに寒い。
濡れと体感温度の関係により、汗や雨等で体や衣類が濡れている時に風を浴びれば、さらに体温は奪われ寒い。
とにかく色々な要因が加わり「山は寒い」と思っている位で間違いありません。
よく言われていますが、
夏でも低体温症は、老若男女関係なく誰にでもあり得ることであり疲労凍死にもなり得ます。
初めての高山、真夏の槍ヶ岳3180m登山の2500m付近でも雨の中、寒さで凍えて真っ青になっている若い単独女性がいたことが今でも強く思い出されます。自分も無知だったため寒さでとてもつらかった覚えがあります。
普段の町での生活で、気温や体感温度を考えることは少ないとは思うのですが、もし登山やアウトドアを始めようとする方がいましたら上記のようなことを知識として頭に入れておくと良いかもしれません。自分は知らないで登ってかなり苦しい目に遭いました・・・。
初めての登山で日本一高い富士山に行かれる方も多いようですが、3776mという高さは上記のように並ではない世界で、その他にも色々なことがあるということを頭に入れて安全に楽しい登山を始められたらと思います。