何回分 備えるか?災害時におけるトイレの「備蓄目安」を考える 【防災・非常用トイレ】連載:第四回

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これまでの連載で
考えておきたいトイレスタイル や、【防災・非常用トイレ】の メインセット 、そして
揃えておきたい備品 の各ポイントなどを取り上げてきました。

今回は、

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それらを備蓄するにあたっての 気になる数や量、
つまり トイレの「備蓄目安」といったところについて考えていきたいと思います。

〜目次〜
第一回(別ページ)
一般的な【防災トイレ・非常用トイレ】の使い方
 スタイル 1: 別にトイレを設ける
 スタイル 2: 和式スタイルということについて
 スタイル 3: 簡易和式スタイルセット

第二回(別ページ)
 セット 1: 便袋
 セット 2: 凝固剤
 セット 3: 防臭袋

第三回(別ページ)
 備品 1: 消毒液・使い捨て手袋
 備品 2: ヘッドランプ
 備品 3: 携帯ウォシュレット
 備品 4: (あえて)トイレットペーパー
コラム: ポンチョ(目隠し)はいるのか?

第四回(当記事)
「備蓄目安」を考える
 平均回数
 必要日数
 私の場合の備蓄数量
首都直下地震等による東京の被害想定 R4 5・25

第五回(別ページ)
「セット商品を選ぶとしたら〇〇」について
 セット商品のデメリット
あとがき: コストカットからゆとりある備蓄へ




何回分 備えるか?
災害時におけるトイレの「備蓄目安」を考える
【防災・非常用トイレ】連載:第四回

その保管や、コスト面などから気になる備蓄というもの。

そのため「適量」を備えたくなるものですが
災害時におけるトイレの備蓄目安として「1日 5回分」「最低 3日分」という数字をよく見かけます。

ちなみに私の場合の備蓄数量は

1日 15回(大 5、小 10)を 1ヶ月分
つまり 約 450回分を備蓄しています。

これは家族全員分などではなく私一人の備えで、
トイレの備蓄数量が足りなくなるかもしれないという不安要素を 完全に無くした備え になっています。

「多過ぎる」と思われる方もいると思いますが、
この記事を読み終える頃には考え方が変わっているかもしれません。

携帯トイレの備蓄は、大袈裟でなく命に関わること。

その理由等も含め「備蓄目安」というものについて考えていきたいと思います。

「備蓄目安」を考える


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「1日の排泄の平均回数」と「必要とする日数」が分かれば おおよそ何回分のトイレを備えれば良いかが分かってきます。

まずは 1日の排泄の平均回数について見ていきます。

災害時における【防災・非常用トイレ】の備蓄を考える時にはまず 何回分 必要なのか、
つまり 備蓄目安といったことをネットなどで調べると思います。

そこで気をつけたいことは、そこにある数字は あくまで「目安」だということ。

人の生活や生理現象などは千差万別なため
一般的な「回数の目安」は 頭から切り離して考えること が重要だとしています。

ちなみに、
回数の目安によくある「1日 5回分」というのは 私個人的には到底足りない数量になります。

では
「どうすれば?」「何回分 必要なのか?」というところですが、

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ここは 人それぞれ、世帯それぞれで大きく差が出る部分 なため まず、
自分や家族が 1日に何回の排泄をしているかを把握する必要があります。

具体的に考えていくと、

自分や家族が 「1日にどれくらいの回数の大・小便をしているか」 の記録をとって
排泄の「平均回数」を算出します。

ちなみに
・夏より冬場の方が 小便の回数が多くなることがある
・外出時より 在宅時の方が排泄の回数が多くなることがある

など
回数を数えた時の季節や状況等によっても違いが大きくなる場合があるので、記録は
1日分だけではなく長ければ長い期間分の方が より信頼できる数字が取れることになります。

※ できれば、「トイレに行った回数」ではなく
「大便をした回数 と 小便のみの回数」を分けて把握した方が備蓄のコストカットにつながります(その点は今は直接は関係ないので 次回 に記します)

意識しておきたいポイントとしては、災害は季節を問わずやってくるため
自分や家族の排泄回数が 一番多くなる季節の回数を基準にする ことが重要だとしています。

平均を算出するのが手間な場合「最大数」を基準にしても間違いはありません。

私の場合は年間毎日記録をとった結果「冬場」に排泄回数が多くなるため その回数を基準にしています。

1日の大・小便の回数が把握できたら、それはあくまで
「平常時での回数」というところを念頭に置いておき、次に考えたいところは、
「どれくらいの日数分」が必要か というところ。

様々な状況を想定して「必要日数」を考えていきます。

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大きな災害の場合、
電気・水道・ガスなど全てのライフラインが同時に復旧することは考えにくく、
電気に比べ 「水道・ガス」などは復旧までに多くの時間を要する とされています。

平成23年(2011年)の東日本大震災後に修正された
東京都地域防災計画 における「各ライフラインの復旧目標」は

電力: 7日
通信: 14日
上下水道: 30日
ガス: 60日

とされています。

上下水道の復旧目標は 30日とされてますが、

上水道(水道水の供給)と、下水道(汚水の排水)が同時に復旧するとは限らないため
「水道が復旧してもトイレは流せない」、つまり トイレが長期的に使えない ということがあると頭に入れておきたくあります。

また
これは体験されている方も多いと思いますが、

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住まいの給水方式によっては「停電」で水が出ないこともあるため、
停電が長期化した場合は 排水が可能だとしてもトイレを流せる水がないということになります。

大地震の場合
停電、火災、液状化、地盤沈下、排水管の破損など様々なことが起こると言われています。
また、余震が起こればライフラインの復旧がさらに遅れることも想定されています。

日常使っている快適な水洗トイレは、
その場での「給水」「排水」、そしてそこから先の「下水道」「処理」などすべてのシステムが正常に機能して初めて使えるもののため、災害時には使えなくなる可能性が高い と考えられています。

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(画像はイメージ: 一般的な仮設トイレ)

また、自宅トイレとは別に
災害時における「仮設トイレ」等に関してみれば

・仮設トイレの設置があるのか
・災害発生後どれくらいの時間で設置されるのか
・また近くに設置されるのか
・また根本的にその共有トイレを使いたいかどうか
 などを考えたくあります。

ただし、仮設トイレの設置に関しては その災害の種類や規模によっては
事前の情報通りにはいかないことがあると考えられる上に、
設置された場合でも 正常に機能し続けるかどうか、つまり
「トイレとして いつまでも使い続けられるかどうか」も定かではありません。

また、
特に 集合住宅の上層階に住まわれてる方にとっては、
その移動面において 仮設トイレの利用が難しくなる可能性が高くあります。

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都市部では特に その人口の多さから
「仮設トイレの数が不足する」「汲み取りが追いつかない」などといったことも懸念されているため「仮設トイレを当てにする」、つまり
「仮設トイレがある」「いつも使える」と思うことにはリスクがある と考えておきたくあります。

そのため
【防災・非常用トイレ】を十分な日数分 備えておく必要があるとしています。

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「仮設トイレがない、遠い、使えない、使いたくない」として

用意した【防災・非常用トイレ】の備蓄量が 少なかった場合、また 残りが少なくなってきた場合を想像してみてください。

その場合
「排泄を我慢する」「排泄回数を減らしたくなる」 ということが起こってくると思います。

平常時においても
排泄の我慢による 便秘や膀胱炎(ぼうこうえん)などの排泄障害が起こりやすいため、
災害時の極度のストレスの中では 尚更その危険性があると感じます。

また、
排泄回数を減らすために水分摂取を控えることなども「様々な健康被害」「災害関連死」などの危険を招く要因となり得るため、排泄に決して困ることがないように
余裕を持った回数、余裕を持った日数分のトイレを備蓄する ことが望ましいとしています。

以上のようなことから これはあくまで私の場合ですが、

・仮設トイレは当てにしない
・ライフラインも長い間復旧しない
・平常時の排泄回数通りには必ずいかない(増減がある)

など
大きな災害時に保証されることは何もないといったことを想定して、
自分の平均と最大数を考慮した 排泄回数 プラスα の「1日15回を 1ヶ月」、
つまり「約 450回分」を備えるに至りました。

「1ヶ月」という考えは、
その期間で 水洗トイレが使えるようになると見込んでいるわけではなく
「1ヶ月あれば 現状を把握でき、そして 次の行動(二次対策・二次避難など)を考えることができるかもしれない」という猶予期間としての要素が強いかもしれません。

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個人的な使用基準でのトイレセットをバラで揃えれば、上の画像程度のボリュームで
450回分以上はあります(大便袋・小便袋・凝固剤・防臭袋など)。
(コンテナ外のトイレットペーパーは コンテナサイズ把握のためのボリュームサンプル)

無駄を省くため ギリギリの数量を確保したくなると思うのですが、個人的には
「足りなかった場合のリスクが大き過ぎる」「そんなにも使わないだろう位が安心」 と考えています。

(そのため、大きなコストカットにつながる 「バラ揃え」を前提とした連載 としてきました)

トイレセットに必要なものはトイレ以外での活用も想像できるため、トイレに限った用途だけではない広い使い方を意識しても良いと思っています。

「災害」という極限の状態において想定できる不安要素を 事前に一つでも多く排除しておくことが備えの重要なポイントだとしているため トイレが足りない場合のリスクを感じながら、つまり不安要素を残すようなギリギリの数量では本当の備えにはならないと考えています。

そのため私は備蓄数量の不安を確実にゼロにするための携帯トイレを備えているということになります。

災害発生後 すぐにでも起こり得ることに「排泄」があるため
トイレの備えは 食料や飲料水などと同様に しっかりと考えておく必要があると思います。

ちなみに、これを読まれてる方は
「睡眠」「食事」「排泄」のどれが一番 我慢することができないでしょうか。

私の場合は 圧倒的に「排泄」になります。

首都直下地震等による東京の被害想定 R4 5・25

最後に、

個人的な「1ヶ月分のトイレ備蓄」という考えに至る要素の 1つとなった
2022年(令和 4年) 5月25日公表の「首都直下地震等による東京の被害想定」のリンクを掲載しておきます。

その中でも
10~14ページにある 「身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相1〜5」
各項目が具体的でイメージしやすく 非常に参考になるものでした。

トイレだけに限らず 備蓄を考える上で、良い参考になると思います。

※ 各ページへジャンプします

首都直下地震等による東京の被害想定(PDF) 東京都防災ホームページ
身の回りで起こり得る被害の様相1〜5 東京都防災ホームページ

首都直下地震 復旧にかかる日数は?(動画ページ) 防災・復興 明日をまもるナビ NHK

これまでの連載で、トイレセットをバラで揃えるための各ポイントなどを記載してきましたが、
バラ揃えが面倒な場合などのために 個人的に「もしセット商品を選ぶとしら」という商品を
次回(連載:第五回)で取り上げたいと思います。

そして、
ゆとりある備蓄に大きく関わってくる コストカットの考え方についても併せて取り上げたいと思います。

〜目次〜(上に戻ります)
「備蓄目安」を考える
 平均回数
 必要日数
 私の場合の備蓄数量
首都直下地震等による東京の被害想定 R4 5・25

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